注文住宅を建てるなら、誰もが憧れのキッチンを手に入れたいと願うものです。おしゃれに見えるアイランドキッチンか実用的なカウンターキッチンか、あるいは料理に専念したいから独立型にしようかな?などなど、キッチンのことを考えるだけで胸躍る思いになる人も多いでしょう。
とはいえ、実際に間取り決めをしていくと「アイランドキッチンはわが家には大きすぎるかも」「独立型だと家族の様子がわからないから」と、さまざまな悩みにぶち当たることもあるかもしれません。
この記事では、注文住宅でこだわりのキッチンを手に入れたい人に向けて、タイプ別に特徴を紹介します。タイプ別にどんな人におすすめかも合わせて解説するので、自分たちに合ったキッチン選びをしましょう。
キッチン選び、見た目より実用性を重視する傾向も!
注文住宅は自由に間取り決めができるのが魅力ですが、キッチン選びにおいても抜群の自由度があります。せっかく注文住宅を建てるなら「憧れのアイランドキッチンにしたい!」と思う人も多いでしょう。アイランドキッチンはインテリアの一部のように見た目がおしゃれですし、存在感もあるので自慢のキッチンスペースが完成します。
しかし、ある調査結果を見てみましょう。住宅設備機器メーカー・タカラスタンダードが2021年にキッチンのリフォームを実施した20~69歳の男女対象にアンケートを取ったところ、50%以上の人がリフォーム時に「汚れにくい・掃除がしやすい」点を重視していることが判明しました。続いて「料理がしやすい」「傷がつきにくい・長持ちする」「作業スペースが広い」「シンクが広い」と続きます。年数が経つと掃除をしても汚れが落ちにくくなるため、日々の掃除が簡単なことが重要なポイントになっているようです。このことから長年住んでみると、見た目よりも実用性を重視したほうがキッチンは使いやすいといえます。
【出典】タカラスタンダード「約400名のキッチンリフォーム経験者にアンケート」
キッチンのタイプを決める前に気を付けたいこと
料理する人にとって、キッチンは24時間のなかで一番長く居る場所です。キッチンが自分にとって居心地のいいものではないと、生活のしづらさを感じてしまう人もいるでしょう。居心地のいいキッチンにするためには、以下の3点に気をつける必要があります。
1.作業効率を左右する「ワークトライアングル」を意識する
2.収納やゴミ箱・コンセントの位置もしっかり確保する
3.明るく開放的な空間にする
これらのポイントについて、以下で詳しく解説します。
1.作業効率を左右する「ワークトライアングル」を意識する
キッチンの使いやすさは「ワークトライアングル」で左右されるといっても過言ではありません。ワークトライアングルとは「シンク(流し台)」「コンロ」「冷蔵庫」の3点を結ぶ作業動線のことです。
水回りと火まわり、冷蔵庫を結ぶと三角形になり、その三角形が正三角形になるほど作業効率が良くなります。具体的には、以下の数値内に収まるようにワークトライアングルを考えることが重要です。
・シンクとコンロの距離:120〜180cm
・コンロと冷蔵庫の距離:120〜270cm
・冷蔵庫とシンクの距離:120〜210cm
3辺の合計が360〜660cmの範囲内であれば、作業効率がグンとアップするキッチンになります。たとえば、ワークトップ(作業台)を長くすれば、作業できるスペースが増えるため、一見使いやすそうに感じるかもしれません。しかしシンクとコンロの距離が180cm以上空いていると、横移動が多くなってしまいます。
逆も然りで、ワークトップが120cm以内だと狭くなり作業しづらさを感じるでしょう。キッチンのタイプを選ぶ際は、ワークトライアングルが正三角形にできるかもしっかり意識しましょう。
2.収納やゴミ箱・コンセントの位置もしっかり確保する
見た目がおしゃれなアイランドキッチンは、キッチンのなかでも人気のタイプとはいえ収納スペースが少ない点がデメリットです。「収納スペースが少なければ、見せる収納でいいのでは?」と思う人もいるかもしれません。
たしかに見せる収納にすると、キッチンアイテムが取り出しやすかったり、おしゃれに見えたりするメリットもあります。ただしほこりが気になる、ゴチャゴチャして見える、地震の際に落ちてくるリスクがあるなど、さまざまなデメリットがあることも事実です。実用性を重視するなら、キッチンの収納はどのくらい必要か事前に確認しておきましょう。
ゴミ箱は隠したいのか、見せたいのかも十分に考慮する必要があります。ゴミ箱の位置は、後悔しても変更するのが意外と難しい箇所です。たとえば、シンク下にゴミ箱が置ける設計にすると収納スペースが少なくなります。収納スペースとゴミ箱問題は相関関係にあるので、合わせて検討しましょう。
キッチンの設計では、コンセントの位置も重要なポイントです。フードプロセッサーやミキサー、電気フライヤーなど、移動して使う家電はワークトップで使用することが多いため、自分の料理スタイルもしっかりイメージしながらコンセントの位置を考えましょう。
3.明るく開放的な空間にする
キッチンは毎日使う場所だからこそ、明るく開放的な空間にしたいもの。特に縦長タイプのLDKの場合、キッチンが北側になることで日が差し込まず、暗くなってしまうこともあります。そういった場合はダイニングキッチンに吹き抜けを作って、天井に天窓を配置して上からの日差しを取り入れる設計にするのがおすすめです。
また、キッチンは白など明るい色のものを選ぶと部屋に広がりが生まれ、開放的な空間に感じやすくなります。キッチンの間取りを確認した上で、どんな環境で自分が料理するのかイメージしてみましょう。
注文住宅におすすめのキッチン!人気タイプの特徴を紹介
ここから注文住宅で人気のキッチンをタイプ別で紹介します。その前に、キッチンには対面キッチンと壁付キッチンがあることを確認しておきましょう。
対面キッチンとは、料理をしている人がリビング・ダイニングを見渡せるつくりです。家族とコミュニケーションを取りやすいのが、大きな特徴でありメリットといえます。壁付けキッチンとは、料理している人がリビング・ダイニングを背にするつくりです。リビングなどにいる子どもの様子がわかりにくいなどデメリットもあるものの、料理に集中できます。昔は壁付キッチンが主流でしたが、近年は対面キッチンが人気です。
注文住宅で人気NO.1の「アイランドキッチン」
島のように設置されたキッチンが、アイランドキッチンです。仕切りがない「オープンキッチン」の1つで、キッチンの4面すべてが壁面から離れて独立しています。対面で使う場合を想定し、ワークトップの奥行は75~100cmが一般的です。おしゃれなデザインのものが多く開放感があることに加え、キッチンの四方から作業できるため、複数人で料理をする際に回遊しやすいのも魅力です。
一方で、デメリットは場所を取ることが挙げられます。キッチンスペースとその周りの通路の幅を確保する必要があり、ほかのスペースを圧迫する可能性もあります。オープンであるがゆえに、油はねや水はねが気になる人もいるでしょう。ほかにもキッチンが丸見え、収納スペースが少ないなどのデメリットもあります。そのため、おしゃれなキッチンが絶対欲しい気持ちが強く、こまめに掃除できていつも清潔な状態をキープできる人におすすめです。
間取りの制約が少ない「ペニンシュラキッチン」
ペニンシュラキッチンとは、キッチンの左右どちらか一方が壁にくっついたキッチンのことです。「ペニンシュラ(peninsula)」とは英語で「半島」を意味し、キッチンが壁から出ている半島型の形状のため、ペニンシュラキッチンと呼ばれています。アイランドキッチンと同様に対面で使う場合を想定しているため、ワークトップの奥行は75~100cmが一般的です。
ペニンシュラキッチンはコンロの前面に壁があるタイプと壁がないタイプがあり、前面に壁があるタイプは横の壁とともに油はねを防いでくれます。ただし前面に壁がないタイプのほうが開放的です。また、片側が壁についていることで回遊できないものの、アイランドキッチンよりも少ないスペースで設置できます。アイランドキッチンに憧れはあるものの、そこまでの広さが確保できない人におすすめのキッチンタイプです。
腰壁付きで手元が見えにくい「I型キッチン」
I型キッチンは、コンロ・シンク・調理スペースが横一直線に並んだオーソドックスなキッチンタイプです。前の2つがフルオープンタイプのキッチンだとしたら、こちらはセミオープンタイプのキッチンといえます。ペニンシュラキッチンにカウンターと腰壁を作って、手元を隠せるタイプをイメージするとわかりやすいでしょう。対面での作業は想定されていないため、ワークトップの奥行きは65cmが基本の仕様ですから、比較的コンパクトで間取りに制約がありません。
I型キッチンは、カウンター部分の高さがあることで、キッチンが散らかっていても外から手元が見えにくくなります。背面収納が利用しやすく、キッチン下と合わせて収納スペースが多い点も魅力です。デメリットとしては、開放感がなくなってしまう点が挙げられます。カウンターを高いつくりにすると、ダイニング・リビングにいる家族の様子が見えにくいケースもあります。
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注文住宅のキッチンでは、主にアイランド型・ペニンシュラ型・I型が人気です。それぞれにメリット・デメリットがあるので、注文住宅を建てた後の暮らしを具体的にイメージして選びましょう。また、居心地のいいキッチンを実現するためには「ワークトライアングル」を意識しつつ、収納やゴミ箱・コンセントの位置決めや、明るく開放的な空間になるように設計するなど、複数のポイントがあります。そのポイントを押さえたキッチンにするには、注文住宅の設計・施工実績が多いハウスメーカーへの相談がおすすめです。
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