平屋は、伝統的な日本家屋をはじめとし、古くから日本で親しまれている住宅の構造です。二階建てや三階建てなどの現代的な構造が増えているなか、ワンフロアで家族が一緒に暮らせる平屋も根強い人気を誇っています。これから家を建てようと思っている場合は、平屋にするか二階建てにするか迷っているという人もいるでしょう。
この記事では、平屋を建てる際に知っておきたいメリット・デメリットを一挙にご紹介します。気になる平屋と二階建て住宅との税金の違いも確認しておきましょう。
平屋のメリットとは
これから平屋を建てる場合に、平屋の具体的なメリットが気になっている人も多いでしょう。平屋はワンフロアのため幅広い年代の人が暮らしやすく、近年再注目されています。まずは、平屋のメリットをご紹介します。
バリアフリーにできる
平屋は1フロアの平面のみで構成されているため、幼い子どもから高齢者まで安全で快適に暮らせるバリアフリー住宅を実現できます。日常生活で階段の上り下りをする必要がなく、子どもや高齢者が室内で転倒したり転落したりする危険を減らせるでしょう。家族の生活の自由度が高まり、本人だけでなく周りでサポートする人にとっても負担が減るのが嬉しい点です。今すぐに育児や介護が必要でなくても、バリアフリーの家だと家族のライフスタイルの変化にも適応しやすく長く快適に暮らせます。
階段のスペースが不要である
平屋は2階がないため、階段のスペースを設ける必要がないのもメリットです。2階建てや3階建て住宅の場合、他の階に移動するために必要な階段のスペースは建物面積の約10%を占めると考えられています。ゆったりと開放的な間取りにする場合は、よりも広めに確保することもあるでしょう。一方、平屋では階段のスペースが不要なので、その分を居住空間に充てられます。
メンテナンス費用が抑えられる
平屋は二階建てに比べてメンテナンスの費用を抑えられます。家は建てたら終わりではなく、長く快適に暮らしていくために定期的なメンテナンスが必要です。壁や屋根は材質にも寄りますが、築10年ほどを目安にメンテナンスの確認をした方が良いでしょう。
その際、平屋の外装のメンテナンスでは階層がないため大規模な足場を組む必要がありません。そのため、メンテナンス費用が二階建て住宅に比べると安くなる傾向があります。
生活動線が効率的
1つのフロアに居住空間が広がる平屋は、二階建てや三階建ての住まいに比べて生活動線を効率的に設計しやすいのが魅力です。
生活動線とは、朝から晩までの生活の中で、洗面やお手洗い、食事、外出、片付け、就寝などの家族の動きを表した線です。
生活動線が短いと行動がスムーズに切り替えられ便利と言われており、特に平屋では階段で上下に移動する必要がないため、効率的な生活動線を実現しやすいでしょう。
間取りの工夫では、例えば玄関から洗面所へ行きやすくしたり、キッチンとパントリーを隣同士に位置させたりすると、家事動線もかなり効率的になります。
耐震性が高い
平屋は、耐震性にも優れています。
低い建物は揺れにくいため、高さのある二階建てや三階建てに比べて地震の際に揺れが生じにくくなります。このため、建物にひびが入りにくく、倒壊の恐れも少なくなるでしょう。
また、平屋は正方形や長方形などのシンプルで安定した構造が多く、壁や床、天井などがバランスよく配置されています。揺れが発生しても不均衡に力が集中してしまうのを防いで分散してくれます。
さらに、上部には屋根しかないため上からの重さがかかりにくく、潰れにくいのも優れた耐震性につながる特徴です。
家族間でのコミュニケーションが取りやすくなる
ワンフロアに生活空間が広がる平屋は、家族の存在を身近に感じられコミュニケーションが取りやすいのも特徴です。
子どもが成長すると部活や塾、習いごとなどで生活リズムにずれが生じてしまい、顔を合わせることも少なくなるというケースがあります。平屋のように家族全員が1つのフロアで生活していると、家族を身近に感じられます。特にリビングを中心とした間取りにすると、移動する際に家族と顔を合わせ会話する機会が増えるでしょう。
平屋のデメリットとは
年齢層幅広く快適に暮らしやすい平屋ですが、デメリットもあります。平屋を建てる前にメリットと共にデメリットも把握しておくと良いでしょう。
ここでは、平屋のデメリットをご紹介します。
広い敷地が必要
平屋で二階建て住宅と同じ延べ床面積の建物を建てたい場合、二階建て住宅よりも広い土地が必要です。しかし土地には、用途地域によって敷地に対する建築可能な建物の広さを定める「建ぺい率」が決まっています。その土地に自由に家の広さを決めて建てても良いわけではないということです。そのため、希望する延べ床面積とその土地の建ぺい率を確認する必要がある点にも注意しましょう。
居住空間がコンパクトになりすぎると、収納に困ったり家族の距離が近すぎたりして生活しにくいと感じてしまう恐れがあります。特に平屋はワンフロアしかないため、快適に生活するためにどのくらいの広さが欲しいのかを予め考慮したうえで、土地を購入しましょう。
水害に弱い
平屋のデメリットとして、他の構造に比べて水害に弱い点も挙げられます。二階建ての場合は洪水が発生しても上の階に避難できます。平屋では小屋裏を設けている場合もありますが、避難するのに十分な高さが確保できていないケースが多いでしょう。また、家財道具などがすべて1階に置かれているため、水浸しになってしまうリスクが高くなります。
平屋を建てる土地を探す場合は、地域のハザードマップを確認しておくのがおすすめです。水害の多いエリアを避けて建築するのが良いでしょう。
二階建てよりも建築費がかかる
平屋と、同じ屋根や基礎のもとに2倍の延べ床面積を建築できる二階建て住宅とを比べると、平屋の方が建築費が割高になります。1つのフロアで集約できるため工事費が安いと思っている人もいるかもしれません。しかし、実際には屋根面積や基礎面積が広くなるので同じ延べ床面積の二階建てと比べて建築費が高くなる傾向があります。
防犯・プライバシーが心配
窓が多い間取りでは、外から不審者に侵入されてしまうリスクが高まります。戸締りや貴重品の管理、センサー・アラームの設置など防犯対策は念を入れて行いましょう。
また、室内が近隣の家から見えてしまうなどプライバシーの確保が困難なこともあります。家族がリラックスして過ごすためには、周辺の家から室内が見えないようにカーテンや柵を配置するなど工夫することも重要です。
平屋と二階建て住宅の税金面の違い
家づくりでは税金を含めた費用面が気になる人も多いでしょう。
坪数が同じ平屋と二階建てを比べた場合、平屋の方が税金が高くなります。
建物や土地を購入して所有すると、毎年固定資産税と都市計画税が発生します。固定資産税は資産価値によって異なりますが、屋根や壁に多くの資材を使う平屋のほうが二階建てよりも高いとみなされることをおさえておきましょう。都市計画税は、市町村が都市計画や土地区画整理などの事業に応じて課する税金です。こちらも固定資産税の課税標準額に対して税率をかけるため、二階建てよりも高くなる場合が多いでしょう。また、同じ延べ床面積で平屋と二階建てを建てる場合は、平屋のほうが広い土地が必要になり、土地にかかる税金が高くなる傾向にあります。
下記では、平屋と二階建てにかかる税金のシミュレーションをご紹介します。ただし、住宅にかかる税金は地域や建築物によってそれぞれ異なるため、単純に比較できない点にも注意が必要です。傾向として参考までに認識しておくと良いでしょう。
シミュレーションでは、土地の評価額が1,800万円、平屋の評価額が1,700万円、二階建ての評価額が1,400万円、そして固定資産税を1.4%、都市計画税を0.3%として算出しています。また、住宅用地の特例による減額として、土地には固定資産税1/6、都市計画税1/3、新築住宅に対する固定資産税の減額1/2を適用しています。
平屋 |
二階建て |
|
土地 |
固定資産税(1,800万円×1/6×1.4%):4.2万円 都市計画税(1,800万円×1/3×0.3%):1.7万円 5.9万円 |
固定資産税(1,800万円×1/6×1.4%):4.2万円 都市計画税(1,800万円×1/3×0.3%):1.7万円 5.9万円 |
建築物 |
固定資産税(1,700万円×1/2×1.4%):11.9万円 都市計画税(1,700万円×0.3%):5.1万円 17万円 |
固定資産税(1,400万円×1/2×1.4%):9.8万円 都市計画税(1,400万円×0.3%):4.2万円 14万円 |
合計 |
22.9万円 |
19.9万円 |
※1,000円以下切り捨てで算出
メリット・デメリットを押さえて理想の平屋を実現しよう
平屋は古くから日本家屋に用いられてきた構造です。現代では都市部を中心に二階建ての住宅が増えていますが、平屋のさまざまなメリットが見直され再注目されています。モダンでおしゃれな平屋も増えています。平屋を建てたいと思っている場合は、メリットとデメリットを把握しておくのがおすすめです。
天然木の家HODAKAでは「お客さまが本当に建てたい家を実現したい」という思いを持ち、古くから一級建築士や現場監督、コーディネーターが在籍しています。土地探しから依頼できるため、理想の平屋を実現するために1から相談することができます。現場監督やコーディネーターとの直接の打ち合わせによって要望を伝えやすく、理想のマイホームを建てられるでしょう。
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